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ローマ字

 中学に入ったばかりの頃、英語の先生に聞いたことがある。
「どうしてdeskはdesukuではないのですか?」
若い女性教師は答えはこうだった。
「う~ん、なんて言ったらいいのかしらね。
英語とローマ字は違うのよ。」

 なんだかわかったようなわからないような・・・・。
もう遥か昔の話なのに今でも鮮明に覚えている。

 今年中学に入ったばかりの男の子が英語の綴りが苦手と聞き
答案を見せてもらったら、それはローマ字だった。
ヘボン式の部分が難しいようなのだ。
でも、彼の答案を見て待てよと思う。

 「ちゅ」はchoが正解。
確かに私も今はこれを使う。
でも小学校の時にはtyoと習ったような気がする。

で、調べてみた。

 ローマ字には訓令式とヘボン式があり、
小学校で習うのは訓令式なのだという。
訓令式とはti ti si tyo  hu など、そのままストレートに使う文字、
一方ヘボン式とは、実情に合わせて、chi tsu shi cho fu などを使う形式のことだ。
今中学で習っているのはヘボン式らしい。

 そりゃあ混乱するでしょう!
今の子は小さい頃からパソコンを使っているけど
パソコンのローマ字打ちにはshi tsuなどとは打たない。
最終的に「し」や「つ」になればいいのだから。
(横で夫が「いや、ぼくは日本語打ちでも「shi」と打っている。」と言っている。
余分な労力を使っているのね~。)

 また「づ」と打つためには「du」と打たねばならない。
パソコンをかなり大人になってから習った人にはわかると思うけど
最初はこれは大変な難関だった。
「づ」の打ち方がわからないのだ!
ローマ字では「づ」も「zu」だから、
誰が「づ」をdu」なんて想像できる?

 この「づ」をいとも簡単に変換できる今どきのお子ちゃまたちにとっては
ヘボン式ローマ字のだ行「da ji zu de do」は恐ろしいほどの難関なのである。

 そもそも、このヘボン式からして実態に即しているとは言い難い。
たとえば私の名前「ETSUKO」で誰もエツコなんて呼んでくれないよ。

 「らりるれろ」も絶対「R」の音ではないし。
(日本語のが学習本には「ラ行」はLとDの中間の音だと書いてあるらしい。)

「ん」の音はすべて「N]で表記するのがヘボン式。
でも、難波(なんば)はNambaであるべき。

 まあ確かにカタカナで外国語が表記できないのと同様に
ローマ字にも限度はあるのだけれど。

 耳から英語に入った子どもたちの中には
ローマ字を習ったとたんに発音が悪くなる子が稀にいる。
字づらを目で読もうとするからだ。

 今中学生は訓令式やパソコン打ちのローマ字を忘れて
ヘボン式ローマ字を覚えなければいけない。
その上英語のスペルも!
みんな、こんなことで挫折して英語嫌いにならないでね!

 Wikipediaを読んでいたら
第2次世界大戦後、民主化政策の一環で招かれた第一次アメリカ教育使節団が
「日本語の主たる表記をローマ字にしよう」という提案をしたということが書いてあった。
実現しなくて本当によかったわ~。

  

by arizonaroom | 2009-05-23 23:09 | 英語&日本語&スクール | Comments(2)

Commented by トルテ at 2009-05-24 05:16 x
中学生のみなさん、ご苦労様です、と帽子をとってお辞儀をしたくなりました。
ヨーロッパの多くの国の知識階級の人々でラテン語を勉強している人は
どんな言語もさら~っとできる人が多いみたいです。
我が師86歳はゲルマン語系、ラテン語系、スラブ語系とあわせて9カ国語を操ります・・・
そういえばヘボンてヘップバーンという名前がなぜか変化してしまったらしいです。
Commented by arizonaroom at 2009-05-24 20:17
トルテさん
きっとヘップバーンがヘボンって聞こえてしまったんでしょうね。
そういうのこの時代にはたくさんありますね。
ワイシャツとかメリケン粉とか。
変にローマ字に毒されていなかったのですね。
ヨーロッパではツアーガイドなども平気で何ヶ国語も話ますね。
驚きです。