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小さな命が呼ぶとき

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 生まれたばかりの赤ん坊と1歳の娘が、
難病のポンペ病に冒されていることを知ったジョンとアイリーンは
型破りな薬学者ストーンヒル博士に助けを求める。


 実話に基づいた物語である。
愛する娘が危篤に陥った時に
医師が「もうここで永遠の安らかさを与えてあげましょう。」と。
ジョンも「そうかもしれない。」と思い
彼女の安らぎのために祈ったが
翌日、娘は奇跡的に回復していた。

 「娘は生きたいのだ」と思ったジョンは
偏屈なストーンヒル博士に接触、
ふたりは新しい製薬会社を立ち上げる。

 父親として娘のために安定した仕事を捨ててまで
新薬開発に尽力するジョンの情熱と努力は
自分の研究に没頭するが
金や地位、人などにはてんで興味がなかった博士をも
大きく変えていく。

 ベンチャー企業に投資する投資家たちと
利益を伴う新薬開発に力を注ぐ大手製薬会社。
学者肌の博士とエリート営業マンであるジョンが
多額の費用がかかる新薬開発実現のために
難題を次々にクリアしていく様子がスリリングである。

 たとえば絶対的な患者数が少ないのに
多額の経費をかけてまで開発する意義があるのかとの
薬品会社の指導部に対して
「患者は一生涯薬を使用します。」とジョンが答える箇所は
かなり印象的。

 考えてみれば、博士がいかに天才であろうと
製薬会社の重役や投資家たちが
それを見抜く眼力と知識がなければどうしようもないのだ。
化学式をいきなり見せられて説明されてもねえ・・・。
こういうのは医学知識のほかには
勘と経験と信頼と賭け?
 
 愛情あふれるジョンの家族の団結愛もすばらしい。
夫を、父親を信頼する家族。

 「こんなことに時間を費やしている暇があったら
残された時間を子どもたちと過ごす方がよかったかもしれない。」という考えが
ちょっとだけ頭をかすめたジョンであったが
希望を捨てずに戦う父の姿は本当に感動的。

 映画のモデルの人についても
ちょっと調べてみた。
博士の偏屈ぶりは脚色のようだが
ジョンは、本当にこの映画のようなプロセスで
子どもたちを救ったのである。

 映画が非現実的で夢物語ではなかったというだけでも
見る価値があると思う。




 

 

by arizonaroom | 2010-12-29 22:26 | 映画&TV&本 | Comments(4)

Commented by ぱれっと at 2010-12-30 11:24 x
新薬の開発には、そのような事情があるのか~!と、目からウロコ状態で読みました。確かに、患者数が少ないと、売れる量も少ないですよね。

「安らかに」という気持ちと「頑張れ!」という気持ち、複雑です。
Commented by arizonaroom at 2010-12-30 21:00
ぱれっとさん
やはり企業は利益を追求する団体なんですよね。
安いジェネリック薬品の存在も大切だけど
巨費を投じて開発する企業を守ることも
大事なんだと思わされました。
難しい問題です。

「安らか」にと「がんばれ」の交錯は
いずれは誰もが直面するのでしょうね。
Commented by おはいお at 2011-01-01 04:00 x
HNがコロコロ変わってすみません(汗)。
この映画、すごく見てみたくなりました。
父親の娘を思う気持ちはよ~くわかるけど、ここまでの勇気はなかなか・・・。
実話と言うところがすごいですね。
医療関係者の身内にも薦めてみようと思います。
Commented by arizonaroom at 2011-01-01 21:45
おはいおさん
彼は博士が必要な金額を用意する当てもないのに
約束してしまうんです。
ぜひご覧になってください。
でも、医療用語が盛りだくさんなので
字幕がないとつらいかも。