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ネットの時代と人権

 もうずいぶん前になるが、
世間を震撼とさせるような事件があった。
かなり残酷な犯罪だったのだが
犯人たちが少年だったということで
世間に名前が新聞やテレビで公表されることはなかった。
(一部の週刊誌は義憤から名を出していたが。)

 公表はせずとも
マスコミは当然犯人たちの名前と親の職業を知っている。
 
 ある時、親が働いているビルがニュースにちょっとだけ映った。
それを偶然見ていた同僚は
そこがどこだかすぐわかったのである。

 その後、同僚たちとの密かな「調査」により
その父親が判明、実は顔見知りだったのであった。

 しかし、事件が事件だけに大きな声で騒ぐ者たちもおらず
それほど周囲には広まってはいなかったように思う。
なんとなく軽々しく噂をするのも憚られるような雰囲気がそこにはあった。

 現代は違う。
今世間を騒がせているのは苛めによる自殺事件。
ここにきてかなり大きく進展はしてきたけれど
やはり少年法の壁のせいか、学校の保身のせいか
まだまだ真相究明には時間がかかりそうで
被害者の遺族の気持ちを思うとなんともやるせない。

 しかし、実はこれは表向きの報道で
裏では大変なことになっている。
グーグルの検索キーワードのランキングには
苛めの主犯格とされる少年とその父親の実名が
上位にある。

 彼らの住所、電話番号、家族の職業はもちろん、
本人の写真から幼気な妹たちの写真まで
晒されてしまっているのだ。

 父親の会社のHPは閉鎖され、
少年と祖父と噂されている警察OBによるブログは大炎上、
学校や家には脅迫電話が鳴り続け
こうなったらもう誰も手がつけられない。

 昔は地元の人たちしか知らなかったことが
今は全国の人が一斉に知ることができる。
たとえ、公のニュースで流れることはなくても
私達はより一層の真相に近づくことができる。
(もちろんガセもたくさんあるから要注意ではある。)

 もうこうなったら人権も何もあったものではない。

 もちろん、こんな私刑(リンチ)じみたことは起こってはならないことだ。

 しかし、この結果を招いたのは
市や警察、学校、教育委員会などの自己保身である。
彼らの事なかれ主義が国民をいらつかせ、怒らせたのである。

 私達は今までとは全く違った世界に
一歩足を踏み入れてしまったのだ。

 これからこの未知の世界が
正しい方向に向かうのかどうかは
ひとえに私達ひとりひとりの良心にかかっているのだということを
人類は自覚する必要があるのではないだろうか。






 
 

 

by arizonaroom | 2012-07-10 23:45 | ニュース | Comments(2)

Commented by 花ケーキ at 2012-07-12 15:33 x
ネットでいろいろな事が、出ているという事は
全然知らなかったです。それで、急に警察が動いたのですね。
もの凄く恐ろしい事が、起こっていますね。

ますます子供を育てにくい社会になりました。
どうなるのでしょうね。
Commented by arizonaroom at 2012-07-12 21:49
花ケーキさん
個人の情報流出は許されるものではないけれど
でも、これが起きなかったら
今頃学校も警察も市も教育委員会も
だんまりを決め込んでいたと思います。
複雑な心境です。