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I met a bear

ダウン症のSくんは、いつもご機嫌である。
月2回の英語のプライベートレッスンを始めてから
もう6年くらいになる。

 ゲームをしながら自然に「sorry」という言葉も出てくるし
数字もかなりの数まで数えられるし
動物の名前も、歌もたくさん覚えた。

 今日歌った歌の中に「I Met A Bear」というものがあった。

 夫が「かわいい歌だね。」という。

 私が
 「ある~ひ、もりのなか~
 くまさんに であった」
 と歌うと

 「え?知ってるの?」と驚く夫。

 「日本人は皆知っていると思うよ。」と私。
 
 「それは興味深い。実は僕は知らなかったんだ。」

 え~?そっちの方が驚くよ。

 この歌は「102 Children's Songs」という3枚セットのCDの中に収録されている。
ずいぶん前にアメリカで見つけて買ってきたものだ。

 この「森のくまさん」、歌ってみたらけっこう歌える。

 ある日 森の中
 くまさんに 出会った
 花咲く森の道 くまさんに出会った

 くまさんが言うことにゃ
 おじょうさん お逃げなさい
 スタコラッサッササのサ
 スラコラサッササのサ

  「日本人は本当に皆知っているの?」と夫。

 そこへSくんのお母さんが迎えに来たので
さっそく聞いてみたら
やっぱり歌える。

 歌えるどころか私が忘れていた
くまさんが追いかけて持ってきた「白い貝殻のイヤリング」のところまで覚えていた。

 「これ、どこで覚えたんでしょうね?」
「う~ん、幼稚園?学校じゃないですよね?」

 もっと興味深い事実。
英語の歌詞をよく聞いてみると
かなり違うのである。


 簡単に訳すと

 ある日、途中で大きな熊に出会った。
お互いに見つめあい、お互いの品定めをした。

 熊が「銃を持ってないようだから
君、逃げた方がいいんじゃない?」と言ったので
「それはいい考えだ。さあ逃げよう。」と

 でも後ろから熊もやって来た。
前を見たら木がある。助かった。

 枝は一番低いところでも10フィートはある。
運を信じてジャンプ!でも届かない。

 でもやきもきしないで。しかめっつらしないで。
ちゃんと枝を掴んだからさ。
これで終わりだよ。
また熊に出会わなければね。

 
 なんか全然違うでしょう?
「銃を持っていないから、この人間は安全」なんて
熊が思っちゃうところがいかにもアメリカ的。

 それで余裕かまして、「逃げた方がいいんじゃない?」と
言いつつも、やっぱり追いかけてくる。
けっこう怖い話なのである。


 それでは忘れていた方々のために日本版を。

 ある日 森のなか
クマさんに 出会った
花咲く 森の道
クマさんに 出会った

クマさんの いうことにゃ
お嬢さん おにげなさい
スタコラ サッササノサ
スタコラ サッササノサ

ところが クマさんが
あとから ついてくる
トコトコ トコトコと
トコトコ トコトコと

お嬢さん お待ちなさい
ちょっと 落とし物
白い 貝がらの
ちいさな イヤリング

あら クマさん ありがとう
お礼に 歌いましょう
ラララ ラララララ
ラララ ラララララ
 


 追いかけて忘れ物を届けてくれる、
どこまでも優しいくまさん。
そしてお嬢さん(原曲で出会ったのはたぶん男性?)も
お礼に歌を歌ってあげちゃったりして
ふたりの間には日本人らしい友情が芽生えているのである。

 で、調べてみた。
日本では1972年のNHK「みんなのうた」で
ダークダックスが歌っていたのが最初だそうだ。

 馬場 祥弘という人が訳詞をしたということだが
一時、彼はすべて自分の作詞、作曲だと主張していたとのことである。
後にアメリカの民謡だと判明するまで
著作権を所持していたらしいから
それまでは、よほど知られていなかった歌だったのだろう。

 いずれにせよ、このかわいいメロディーに似つかわしいのは
日本語版と思ってしまうのは
この歌詞に私があまりにも慣れ過ぎたためだろうか?
 

by arizonaroom | 2012-11-03 22:51 | 英語&日本語&スクール | Comments(6)

Commented by ぱれっと at 2012-11-06 08:29 x
これ、日本の歌だとばかりおもってました〜(^^;
日本の歌詞の方が雰囲気がいいですけど、その後のトラブルはちょっと興ざめですね。昔は日本もコピー大国だったのかしら?
子育て時代の定番でした♪
Commented by arizonaroom at 2012-11-06 15:32
ぱれっとさん
彼はたくさんの作者不詳のアメリカ民謡に詳しかったようです。こんな調べればすぐわかるような嘘をつく神経が信じられないですが(最近、そんな人が医学界?でもいましたね。)
うちの夫も知らなかったようなアメリカ民謡を発掘して知名度を上げた功績?は大きかったかも。
何時頃バレたのかは知りませんが
ぱれっとさんが子育て時代にお聞きになった時は
まだ作詞作曲となっていたのかもしれませんね。
Commented by 花ケーキ at 2012-11-08 08:58 x
この歌は日本の歌だと思っていました。
ビックリです。
どこでも歌って、きっと、今でも歌詞を覚えていると思います。
今だったら、真似をしているといって、訴えられたのでしょうね。
Commented by arizonaroom at 2012-11-08 10:40
花ケーキさん
日本の歌だと思っている人が多いのですね。この人の功罪は大きいです。彼は10年にわたって得ていた数千万円の著作権料の払い戻しを余儀なくされましたが、森の熊さんの訳詞家としては認められているようです。幸いなことに作者不詳のアメリカ民謡なので、国際的な大問題には発展しなかったのでしょう。ま、それがわかった上での確信犯ともいえますが。
「おお牧場は緑」を訳したのもこの人です。
Commented by おはいお at 2012-11-10 03:28 x
そう、どこかで聞いたことがあります、アメリカの民謡だと。
でも、歌詞の内容がこんなに違ったとは驚きですね。
私も日本の歌詞が1番しっくりきます。当たり前ですね(笑)
Commented by arizonaroom at 2012-11-10 18:51
おはいおさん
子どもたちには
「銃を持っていないなら逃げた方がいいんじゃない?」とか「熊に追いかけられて危機一髪」とかというより
「熊さんありがとう。」と歌っていてほしいですよね。
やっぱり文化の差?