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落し物

 昨日、有楽町からの帰宅中、
準急との待ち合わせがあったけれど
疲れていたのと乗り換えが面倒だったので
そのまま各駅に乗っていた。

 その待ち合わせ駅で多くの乗客が降りて行ったのだが
ふと、隣の座席を見ると
スマホが置いてあるではないか。

 ぼーっとしていたので
隣にどんな人が座っていたかは
まったく覚えていなかった・・・が
このまま置きっぱなしにするわけにはいかない。

 本人はきっともう既にスマホが無いことに気が付いて
焦っているに違いない。

 でも、今、駅に問い合わせても無駄である。
私が持っているのだから。
本当なら今すぐ降りて駅員に届けてあげたいが
この自宅まで直行の電車から降りたくはないのが本音である。

 駅に着くたびに駅員さんがその辺にいないか見回したりするのだけれど
そういう時に限って誰もいない。

 本人が電話をかけてくるかな?
そういう場合は出てあげた方がよいのだろうか。

 と、若い男の子が座席から立ちあがって話しかけてきた。
「あの・・・」

 視線が私の手の中にあるスマホに向かっている。

ちなみにこれは女性のスマホ。

 彼はもしかしたら落としたところを目撃していたのかもしれない。

 「これですか?」と聞いてみたら
そうだという。

 「僕、これからN駅(スマホの持ち主が降りた駅)に戻るんで
そこで届けます。」

 それはよかった、と彼に渡し
彼がズボンのポケットにしまうのを眺めていた。

 と、そこに突然若い女性が登場してきた。

 「あの、ここにスマホがありませんでしたか?」

 準急に乗り換えたもののスマホが無いのに気が付き
次の駅で下車して、準急が追い越したこの各駅電車を
待ち伏せしていたようである。

 私は目の前に立っている彼を指さし、
彼はポケットから出して彼女に携帯を渡した。
彼女は嬉しそうに
「ありがとうございました。」と叫んで去って行った。

 日本語にアクセントがあり、日本人ではなかったようである。

 それから若者と私の間でしばしの沈黙。
彼は次の駅で黙って降りて行った。

 もちろん、この若者も善意の人だったのは間違いない。
勇気を振り絞って私に声をかけてきたのである。
それが意外なところで本人が現れ
ちょっと気まずくなってしまったのであろう。

 なんだか不思議な出来事であった。

by arizonaroom | 2013-05-22 23:33 | コンピューター&カメラ | Comments(3)

Commented by 花ケーキ at 2013-05-24 21:37 x
なんとも不思議な話ですね
その女性も、その男の子も
善意の人だといいです。
なんだかとっても複雑です。
Commented by arizonaroom at 2013-05-24 22:55
花ケーキさん
その男の子、人のスマホを盗むとかそういう雰囲気はありませんでした。ナイーブすぎるかもしれないけど。持ち主だという女性もそうだけど人を信用するというのは難しいことです。
Commented by arizonaroom at 2013-05-24 22:55
花ケーキさん
その男の子、人のスマホを盗むとかそういう雰囲気はありませんでした。ナイーブすぎるかもしれないけど。持ち主だという女性もそうだけど人を信用するというのは難しいことです。