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ネット時代の噂ばなし

 「芸能人のカップルがホテルに入ったのを見た」という噂話は
昔からよくあった。

 そして、そこでお決まりのフレーズは
「友達の友達が見た」というもの。
友達ではなく、友達の友だち。

 一見知り合いからの信頼すべき情報のようだが
実は目撃者は知らない人なのである。
だから、こんな話はたいてい眉唾ものであった。

 もしかしたら、本当に誰かが目撃したのかもしれない。
でも、話が人から人へと伝わっていくうちに
尾びれがつき、いつのまにか俳優の名前も入れ替わり
最初の目撃談とは似ても似つかぬ話に
なり変わってしまっていたのだった。

 思わぬところで有名人を目撃したら
人に話したくなってしまうのは人情である。

 「うちの店に○○が来たよ。」
「××がうちの病院に入院している。」
たとえ仕事で得た情報は機密事項であると認識していたとしても
この程度のことは
親しい友人や家族には、
「誰にも言わないでね」というフレーズ付きで
皆、普通に話していると思う。


 面白い話だったら人から人へ伝わるかもしれないが
途中でレストランの名前が変わったり病院の名前が変わったりして
信憑性がだんだん薄くなっていくし
そもそも最初に話した人間が誰だかわからないので
真偽を確かめようもない。
だから噂は単なる噂で終わっていったのであった。

 でも、今どきの噂話は、目撃者がはっきりしている。
ツイッターで流しているのだから当然である。
話も従来のリレー方式で伝わるのではなく
誰もが張本人の話を直に聞けるのである。
もちろん尾びれもつかない正確な情報である。

 ここでは情報を流した本人にも
その雇い主にも弁解の余地はまったくない。
そして目撃された有名人にも
「これは単なるデマ、都市伝説です。」などと
笑い飛ばせる余裕を与えてはくれない。

 結局、皆が傷ついてしまう。

 バイトテロもそうだけれど
ネットの発達に人々のモラルや心の準備が追い付いていないのだと
つくづく思う。

by arizonaroom | 2014-03-14 23:59 | コンピューター&カメラ | Comments(0)