バスの中で

 バスの車内ではスイカのチャージは千円のみ、
そして1万円札の両替は出来ないとはっきり明記されている。

 駅前の停留所で出発時間を待つ車内、
ひとりの年配の男性が運転手に1万円札の両替を頼んでいた。

 もちろん、断られる。
しかし、彼は1万円札以外に小銭はまったく持っていないらしい。

 運転手は「外で両替して来てください。」と。

 「その間待っていてくれます?」
 「いや、出発時間になったら出ますよ。」

 「じゃあ両替できない。」とまったくも動こうとしない男性。

 ちなみに次のバスは10分もしないうちに来る。
ここで降車してもどうってことはない。

 「では無賃乗車しますか?」と運転手。
何をどう勘違いしたか「はい」という男性。

 「では、バスは動けません。」と。

 「あなたが降りなければバスは出発できません。」
と、今度はマイクを使用してアナウンス。
彼にではなく、中にいる乗客に訴えているのである。
時間になったけれど、このわからずやのせいで出発できないと。

 意地でも動かない男性。

 と、そこに上品なご婦人が
「いくら必要ですか?」と彼に小銭を渡した。
男性は
「すみません、後でお返しします。」と。

 「いえ、こういうことはありますよね。お互い様です。」と
声が小さいのでわからなかったが、
このような返答をしていたようである。

 男性は勝ち誇ったように運転手に
「ほら、これでいいだろう」と。
そして捨て台詞。
「ばかやろう。」

 運転手は無言のまま。
親切なご婦人に対しても何のリアクションもなし。

間もなくバスは何事もなく出発した。

 規則どおりに動く運転手。
依怙地になっている男性。
私を含め、無関心を装う乗客たち。


 たぶんこの男性が即降りて、どこかで両替か買い物をし
次のバスを待つべきではあったと思うけれど
こういう場合、運転手はどのような行動をとるべきだったのだろう。

 「どなたか両替できる方いらっしゃいませんか?」
と車内アナウンスをよびかければよかったのか。

 「今回はいいので次回お払いください。」と寛大に言えばよかったのか。


 そして私たち乗客は?
彼の窮状を知るや否やすぐ小銭を差し出すべきだったのか。
両替を申し出るべきだったのか。

 後味の悪さをかみしめながら、いろいろと考え込んでしまった今日の午後であった。
 
 
 

 
 
[PR]

by arizonaroom | 2015-02-21 23:43 | 日常&雑感 | Comments(2)

Commented by akikopugh at 2015-02-22 03:56 x
日本ってこういうところ細かいというかケチというか、柔軟性がないというか人間味がないというか…。
おまけするのもその国やお店の評判を上げるんだなあと、外国での経験則から学びました。
バスなんて絶対乗ってやるもんかと男性は思うし、運転手は面倒な客が来たと一日不穏に思うし、誰も得しないですよね。
それに加えて、バスの両替の幅を何十年たっても広げてくれないバスもどうなんでしょう。困ったこと何度もありますよ、バス乗り慣れてなくて。
Commented by arizonaroom at 2015-02-22 23:12
akikoさん
確かに。アメリカではきっと大勢がが小銭をこの男性に渡そうとしていたでしょうね。
日本はけっこう他人に無関心です。(あ、日本というより都会病なのかも。)
今、携帯にもスイカを入れられるのですが、バスでは携帯スイカのチャージができません。ある意味密室なんだから
両替とかもう少し便宜を図ってもいいように思います。