トレジャーハンター・クミコ
日本の女性がアメリカにトレジャーハントに行くという
大まかな筋書だけ見たら
明るいはじけた冒険物語と思うけど
まったく違っていた。
まず主人公、菊池凜子扮するクミコが恐ろしく暗い。
会社でも友だちはいないし、仕事もどこか投げやり。
彼女の楽しみは古い映画「ファルゴ」を繰り返し見る事だけ。
この映画が好きなのではない。
主人公が大金を隠した場所を特定したいのである。
なぜならこの物語は「事実に基づいた」話だから。
アメリカ人の監督によるアメリカの映画なのに
前半の日本の描写のリアルさはけっこうすごい。
誰とも心から繋がれなかったクミコが
アメリカに行ってからの人との交流も興味深い。
いや、クミコ自身の頭の中にはトレジャーハントのことしかないのだけれど。
この心が壊れてしまったクミコを
菊池凜子が上手に演じている。
この不思議な物語の主人公がなぜ日本人なのだろうと思っていたが
実は遺体で発見された日本人女性に対する現地での噂が
元になっているらしい。
楽しい話ではないけれど不思議な余韻が残るのは
たぶんエンディングの巧みさのおかげなのだろう。
by arizonaroom | 2016-09-13 23:38 | 映画&TV&本 | Comments(0)