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鳩と三角関数

 川沿いを自転車で走ると
よく鳩の群れに遭遇する。
 
 この鳩たち、自転車が来ても全然動く気配がない。
こちらを振り向きもせず、
ゆっくりと餌をついばんでいる。
まるで自分は動きたくないので
そっちで自分たちを避けよと言わんばかりである。

 「図々しい奴らだ。轢いちゃうぞ。」と
毒づきはするが
実際、そう言うわけにもいかないので
こちらが急ブレーキを踏むはめになり
ついでに、すっ転びそうになったりするのだ。

 でも「人に慣れすぎ!日光の猿とおんなじ。」と
文句言うのは実は間違っていることがわかった。

 まず、鳩の目は横に付いているので
しっかり自転車は見えている。
けっして無視しているわけではない。
 
 また、茂木健一郎著「脳の中の人生」によりと
鳩の脳には「衝突するまであと1秒」になると
活動する神経細胞があるらしい。
それが1秒前に警報を発し、
衝突を避けるようになっているのである。

 つまり、サイン・コサインの三角関数を用いなくても
障害物の見かけの大きさと、その時間的な変化率から
「衝突するまであと何秒か」という値を計算できるということだ。

 鳩はもしかしたら天才だったのか!

 では私の転びそうになりながらの
衝突回避の努力は
全然意味がなかったということになる。
たとえ私がどんなに悪意があって
故意にぶつかろうとしても
またぼーっとしていて鳩に気がつかなかったとしても
鳩は絶対私の自転車にはぶつからないのである。

 ホッとすると同時にちょっとムッともする。

 でも、鳩の群れに遭遇するたびに
絶対衝突はあり得ないと理解してはいても
三角関数を瞬時に理解する脳を持っていない私は
毎回ブレーキをかけてしまうのであった。

(訂正:三角関数が理解できないのは瞬時だけではない。)

by arizonaroom | 2008-06-03 23:01 | 日常&雑感 | Comments(0)