2007年 11月 03日 ( 1 )

チンパンジーの子どもたち

 野生チンパンジーのドキュメンタリーを見た。
彼らの秩序だった社会生活行動はどれも興味深かったが
今回1番印象深かったのは
小さな子猿の親離れのエピソードである。

 チンパンジーの赤ちゃん時代はとても長い。
母親は子どもが4歳になるまで、次の子を作らずにしっかりと育てる。
知的動物が大人になるためには、
あらかじめ遺伝子に組み込まれた情報より
生まれてからの情報インプットが大切なのだ。

 しかし、子が4歳になると母親はまた女に戻ってしまう。
新しい生命を授からなければならないからだ。
チンパンジーの4歳はひとりでも餌を取ることができるが
でも精神的にはまだ子ども。
母親の変化が悲しくて思わず赤ちゃん戻りしてしまう。
もう母乳断ちしなければならないのに
母乳をねだる回数は3歳の時より多くなり
一人で歩けるのに母親にぶら下がる。
「ぼくはまだ赤ちゃんなんだよ、」と母親に必死にPR。

 女に戻った母親の元にはたくさんのオスがやってくる。
母親を取られたくない息子は、
母親より先にオスに飛びつき「ごあいさつ」。
オスの注意を母親から引き離そうという涙ぐましい努力なのだ。
もちろんオスには「お前はじゃま!」と蹴散らされてしまうのだが。

 母と子の駆け引きも行われる。
もう自分で餌を取れるはずの子に母は果物を与え、
ちょっと機嫌をとってみたり。

 しかし母はやはりオスの元に行ってしまった。
一人取り残されて悲しむ子。
その表情の切なさに思わすこちらも胸がいっぱいになる。
子は悲しみが深く、友達からの遊びの誘いにも乗ることもできない。
しかし同じ経験をしている友達は
母親にしかしたことがない毛づくろいをして慰めるのだ。
「私も同じ気持ちを味わったのよ。
つらいけど一緒に乗り越えましょう。」

 そんな子たちも精神的に成長し
誕生した弟や妹の面倒をみるよいお兄さん、お姉さんになっていくのである。

 「情」を持っているのは人間だけだなどと思うのは大変な間違いだ。
もしかしたら動物の方が
人間よりもっと豊かで暖かいものなのかもしれない。
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by arizonaroom | 2007-11-03 23:46 | 映画&TV&本 | Comments(0)