2007年 11月 16日 ( 1 )

アメリカの保険制度

 夫はこれでもアメリカ人であるから
CNNの大統領候補の討論会を熱心に見ている。
私も横でパソコンをいじりながらも
ちょっとだけ耳を傾ける。

 クリントン上院議員の公約の目玉の一つは国民皆保険である。
何しろアメリカでは4700万人が保険に加入していないのだ。

 いや、加入していないという言葉は正しくない。
高すぎて加入できないのである。
先進国でこんな国がいったいほかにあるだろうか。

 お金持ちや大きな会社に勤めている人たちには
快適な国である。
クリニックは日本のように陰気くさくもなく、待たされることもなく
最先端の医療が受けられる。
また、お金のない人たちには無料の病院があるので
こちらも大丈夫。
大変なのは自営か中小企業に務めるごく普通の人々である。

 クリントン上院議員は「政府主導の保険ではない。」と強調する。
この国の人たちは「上からの命令」とか「政府がコントロールする」ということに
ものすごく抵抗する。
何しろ「社会主義」と「帝国主義」にアレルギーがあるのだ。
(裁判長から「有罪」を宣告されるより
無知な陪審員に宣告される方が百倍もましだと思っている。)

 先日新聞で、貧しいが医者になりたいアメリカ人が
キューバの奨学制度を利用してキューバで勉強しているというのを読んだ。
実はキューバの方がよっぽど医療制度が充実していて
高額の機器を使う先端医療ではないが
きめ細かい診療制度で乳児死亡率はアメリカよりはるかに低いのである。
アメリカ市民はキューバの自由のなさを憐れんでいるが
本当はどちらが哀れなのか、わかったものではない。

 クリントンの案をはっきりと聞いていたわけではないが
彼女の計画は私にはあまり現実的ではないように思える。
国民みんなが気軽に入れる医療保険を作るためには
医師に払われる診療報酬を大幅に下げなければならない。
それをはたして医師や薬品会社が同意するだろうか。

 また何かというとすぐ訴訟を起こし、
莫大な賠償金をせしめる弁護士と国民たち。
高い訴訟保険の掛け金が
治療費に乗じられているのを知らないわけではないだろうに。

 日本に参入しているアメリカの保険会社はたくさんあるが
実は自国で販売しているものとは全く違う性質のものである。
したがって日本で自分たちが販売している安価な掛け金の保険に
アメリカ人は加入できないようになっている。

 昔クリントンがファーストレディだった頃
日本の保険制度を真似しようとして挫折したことがあるが
(医師の診療報酬が極端に低く抑えられているため
医師たちに反対されてしまったのだ。)
もし大統領に選ばれたとして、今回は導入の見込みはあるのだろうか。
それとも、やはり流れてしまうのかな?

 ともあれ、いくらオハイオやテキサスの家の値段が安くても
この医療制度がある以上、
とてもじゃないがアメリカに移住はできないよな。と
夫には悪いが私はひそかに思うのである。
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by arizonaroom | 2007-11-16 22:01 | ニュース | Comments(0)