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政治家の殺し方

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 横浜の元市長・中田宏氏の本である。
かなり過激な題名だけど中身を読めばその意味がよくわかる。

 松下政経塾出身の氏は財政破たん寸前の横浜市を
見事に立て直した人物である。

 しかし、かなり過激なやり方だったので多くの敵を作り
数多くのスキャンダルにも見舞われた。

 裁判では身の潔白が認められたのだが
マスコミの報道は、スキャンダルの時のように
大々的には報じてくれなかったという。

 氏が述べる公費の無駄遣いの内容は驚くべきものだ。
退職金を増やす目的のため退職日前日に昇給するという慣例。
保育士に保育手当。
給食職員に給食業務手当。
戸籍窓口の職員に戸籍登録事務従事手当。
(道理で戸籍謄本手数料が高いわけだ。)
交通定期は1か月分買いつけ金額で計算。

 これらの手当にメスをいれたのだから
職員に嫌われて当たり前である。

 驚くのはまだまだである。
職員が市長あてに「死ね」などと庁内LANでメールをしてくるのだ。
もちろん実名もわかってしまうが彼らは一向に構わない。
なぜならクビにならないのはわかっているから。

 そしてマスコミの問題。
彼の市長としての実績はちっとも報道しないのに
実態不明のスキャンダルだけはしっかりと流す。

 即日開票と翌日開票では人件費が1億円以上も違うのに
そこには触れずに
「中田が翌日開票に方針」に対するの批判のみを報ずる新聞。

 最近もどこかの市長が「マスコミは本当にバカばっか」と吠えていたが
その気持ちも、これを読めば頷ける。

 この本はけっして弁明だけの本ではない。
彼は、これらのバッシングを招いた原因のひとつは
自分の性格にもあったと反省もしているのである。

 もちろん、この本を一方的に信じるのもよくないかもしれないが
少なくとも、私たち国民がちっとも知らなかったことが
本当によくわかるお勧めの一冊だ。

by arizonaroom | 2012-09-16 22:49 | 映画&TV&本 | Comments(0)