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父親たちの星条旗

 
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昨日に引き続きクリント・イーストウッドの硫黄島シリーズの2本目。アメリカ側からの物語である。

 この2本の映画のストーリはそれぞれ別の原作から作られていて
舞台設定以外には共通点はない。
こちらでは日本兵の素顔はほとんど見えない。
洞穴からの射撃と自爆シーンのみである。

 日本編は戦闘シーンに過去の回想シーンが
折り重なっていくのだが
アメリカ編は反対に戦闘のシーンと
戦争終結直前と現代の3つの時が同時進行で進んでいく。

 始まりは星条旗をすり鉢山の頂上に掲げている写真であった。
硫黄島は奪ったもののまだ戦争終結には至らず
深刻な資金難に陥っている政府は国債を売る手段として
そこに写っていた帰還兵たちを利用することにした。
しかしこの写真には秘密があったのである。

 戦争で傷つき、そしてその後の英雄扱いにさらに傷つく兵士たち。
そこには勝者の喜びは微塵も感じられない。
今までのハリウッドの戦争映画は
正義のための戦いと英雄の話ばかりであったが
戦いとはそんな奇麗事ではけっしてないと
この映画は教えてくれている。

 戦争はけっして善と悪の戦いではない。
そして勝者も敗者と同じようにたくさんの傷を負うのである。

 国は国民のために戦争をするのか、
それとも国民を利用して
自分たちのメンツのために戦争をしているだけなのか。
ただひとつ言えること。
これほど愚かで悲しい行為はないということである。

 


 
 

by arizonaroom | 2007-08-19 23:56 | 映画&TV&本 | Comments(0)